Q&A

後見・財産管理に関するQ&A

Q5-01
誰が家庭裁判所に成年後見の申立をすることが出来るのですか?

本人、配偶者、四親等内の親族(父母、子、孫、兄弟、甥姪、叔父叔母、いとこ等)、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人または検察官です。

Q5-02
成年後見を申し立てた後、裁判所ではどのようなことを調査されるのですか?

裁判所の調査内容は、本人自身に関するものと後見人等の候補者に関するものの二つに分かれます。

【本人自身に関する調査】

① 本人の略歴・職歴・病歴・今の生活状況・家庭状況・親族との関係・申立人と本人との関係

② 本人の判断能力

③ 本人の資産・収入の内容とその管理状況

④ 申立てについての本人の意向

⑤ 後見人候補者、保佐人候補者、補助人候補者についての本人の意向

【成年後見等の候補者に関する調査】

⑥ 成年後見人と本人との関係(利害関係等がないかどうか)

⑦ 後見人候補者等の職業や経歴

⑧ 成年後見人等の意向

⑨ 成年後見人等の適格性

Q5-03
成年後見には、後見・保佐・補助の3つの制度があると聞いたのですが、その違いを教えて下さい。

本人の精神上の障害の程度によって区別されます。

【後見】

精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症等)によって判断能力を欠く常況にある人が対象となります。自分で判断して法律行為をすることがほとんど常にできないという場合です。

家庭裁判所は本人のために後見人を選任し、後見人は、本人の財産に関する全ての法律行為を本人に代わって行うことができます。また、日常の買い物等の日常生活に関わるものを除き、本人が自ら行った法律行為に関しては取消の対象となります。

【保佐】

精神上の障害によって判断能力が著しく不十分な人が対象となります。簡単なことであれば自分で判断できるが、法律で定められた一定の重要な事項については援助してもらわないとできないという場合です。

家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して特定の法律行為について代理権を与えることができます。また、本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取消の対象となります。

【補助】

精神上の障害によって判断能力が不十分な人が対象となります。重要な財産行為について、自分1人でこれを行うことは不可能ではないが、適切に行えないおそれがあるため、他人の援助を受けた方が安心であるという場合です。

家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人は特定の法律行為について代理権又は同意権(取消権)を与えることができます。

Q5-04
成年後見人の報酬はどこから支出されるのですか?

被後見人本人の財産の中から支出されます。

報酬の支払いを受けるには、まず、家庭裁判所に対し、報酬付与の審判を申し立てる必要があります。これに対して、家庭裁判所は、相当な報酬を審判という形で決定します。そして、この審判に基づいて、被後見人本人の財産から報酬の支払いを受けることになります。

Q5-05
後見制度支援信託とはどのような制度ですか?

後見制度支援信託とは、後見制度による支援を受けるご本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。

成年後見と未成年後見において利用することができます。信託財産は、元本が保証され、預金保険制度の保護対象にもなります。

後見制度支援信託を利用すると、信託財産を払い戻したり、信託契約を解約したりするには予め家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。

Q5-06
移行型の任意後見契約とはどんな契約ですか?

任意後見契約の利用の仕方は、移行型、即効型、将来型の3つに大別することができます。その中の移行型では、財産管理等の委任契約と任意後見契約の二つの契約が必要となります。すなわち、本人と任意後見受任者との間で、本人の判断能力低下前については、財産管理等の事務を委託する旨の委任契約を締結して財産管理等を委任し、あわせて、本人の判断能力低下後については、任意後見監督人の選任時から任意後見受任者が代理権を行使する任意後見契約を締結します。これによって、本人の判断能力低下前の代理人がそのまま判断能力低下後の任意後見代理人に移行することができるようになります。

Q5-07
任意後見契約は公正証書以外の方法でも締結出来ますか?

できません。

公証人が関与することによって適法かつ有効な契約が締結されることを担保するために、任意後見契約は公証人の作成する公正証書により締結しなければなりません。

Q5-08
本人の判断能力が十分ではなくても任意後見契約を締結することは出来ますか?

本人の判断能力が衰え始めていても、任意後見契約を締結する際に本人の意思能力があり、かつ契約の内容を理解できれば任意後見契約を締結することは可能です。

もっとも、本人の判断能力に対する疑問が消えない場合は、公証人は法定後見を勧め、公正証書の作成を拒否することが多いようです。

Q5-09
任意後見契約を解除することは出来ますか?

(1)任意後見監督人選任前

本人又は任意後見受任者は、いつでも任意後見契約を解除することができます。ただし、公証人の認証を受けた書面が必要です。公正証書の作成までは必要ありません。

(2)任意後見監督人選任後

本人または任意後見人が任意後見契約を解除するには、家庭裁判所の許可が必要です。裁判所は解除について「正当な理由」があると判断した場合に許可します。

もっとも、裁判所の許可を得ただけでは任意後見契約は終わりません。解除の通知とそれが送達されたことを証する書面で終了の登記をする必要があります。そのため、内容証明郵便で解除の通知を出して契約の効力を失わせる必要があります。

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